作事組全国協議会 総会 2016 in 姫路 | 作事組全国協議会

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作事組全国協議会 総会 2016 in 姫路

作事組全国協議会姫路大会を終えて

去る2016年10月29,30両日、第5回作全協姫路大会を成功裏に終えることができました。姫路・町家再生塾の皆さん、お手伝い及び行政の方々には準備と大会運営に、大変ご尽力いただきありがとうございました。各地の活動団体の皆さんには遠方からのご参加及びご協力にお礼申し上げます。

作全協設立から足掛け8年の間に京都、八女、金沢、宮津と大会を重ねてきましたが、それぞれの地域の実情を反映した魅力あるものでした。一方で各地域の町家の保全・再生活動の進捗状況、市民への周知度、及び行政の肩入れ状況の差異により、情報交換と学びあい及び相互支援、各地域間の連携による町家、民家の保全・再生の普及と法・制度などの枠組みの模索という会の目的とは幾分ずれる大会もありました。

そこで、今回は準備段階から事務局本部と姫路で意見交換を重ね、京都の職方が姫路を訪ね、現地の職方と一緒に姫路や網干の町家や民家の保存状況を、見て回ったうえで意見交換をする場も設けました。大会1か月前の最終協議では姫路から、シンポを職人に語ってもらうことで、市民にその存在を知ってもらう内容にするという宣言があり、それでは職人の語りを通して、一般市民に町家の良さを伝える場にしようということになりました。

今回の姫路は8年前に作全協設立準備会を開催した地です。その間の活動としては調査、研究及びそのまとめという成果はありましたが、活動としては停滞していて、今回の大会開催をきっかけに活動を再開しようとされていました。念願の改修事例1作目の着工がぎりぎり間に合い、大会メニューに加えることができました。

大会の内容は分科会が前記の状況を反映して、改修事例第1作の町家で直し方を職方同士で話し合う。隣地の建設で影響を受けやすい町家の相隣問題。伝統木構造の作法で直し、造る際の課題の3科目でした。そして今回の大会テーマであったシンポは、一般市民57名の参加を得るとともに市長も駆けつける中で開かれました。パネラーに若手大工たち、コメンテーターにベテラン大工、そしてコーディネーターは町家の消滅を惜しむ町の版画家という布陣でした。伝統木造構法実現にはさまざまな障壁があるなか、確信をもって建てつづける職人の話に、初めて聞く一般市民の方々は戸惑いを覚えたかもしれませんが、姫路第1作目の施主ご夫妻がフロアーで、町家の改修活用に至った経過や、改修後の暮らしの夢を語っていただいたことで、その方々にも町家に関心を持っていただく場になったと思います。

大会の目的である町家の保全・再生の普及は、造り手だけでは果たせるものではなく、住み手や市民ないしは行政と協働することが必須です。これまでもシンポは一般公開でしたが、今回のシンポで改めてその大切さを確認させていただきました。それを今後の大会に生かしていきたいと思います。みなさまからも大会や会の運営について、ご意見をお寄せいただくようにお願いしますとともに、今後ともご協力をお願いします。


LinkIcon[ 「古い町家を守る職人の技」神戸新聞161128 ]